1日10回潅水可能な第二世代の土壌水分対応潅水コントローラー(トマトバッグ栽培潅水プロ2型 TB-227-2)
トマトバッグ栽培潅水プロ2型(TB-227-2)の開発の経緯
- 日射比例潅水コントローラーは、蒸散量と日射量との高い相関関係にあると仮定して潅水量(電磁弁開秒数)を制御しています。厳密には、蒸散量は日射量だけでなく気温、葉温、湿度、風速などの付近の環境と作物の生理状態、生育状況に関係しています。
- トマトの糖度と直接的に関係深いのは土壌水分であり、日射量ではありません。したがって、潅水量を決めるのに曖昧さが残ります。夕方、土壌水分が高くなる(潅水過多)と糖度だけでなく裂果が多くなり、収益が減少することにつながります。
- 近年、連続して埋設可能な土壌水分センサーが開発された。この土壌水分センサーの栽培土壌での応答性を調べたところ、高糖度トマト栽培に十分利用可能であることが検証された。
- 土壌水分センサーを用いバッグ培土中の土壌水分含量(体積含水率%)を測定して、バック内を最適土壌水分にして、高糖度トマト栽培をめざす自動潅水装置「トマトバッグ栽培潅水プロ2型」(TB-227-2)を開発しました。
トマトバッグ栽培潅水プロ(TB-227-2)の特徴と制御例
・トマトバッグ栽培潅水プロ2型システム(TB-227-2)は1日に10回の潅水時刻を設定できます。
・潅水時刻の水分含量が基準値より少なければその時刻に設定した量(秒単位)を潅水します。
・基準値より多ければ潅水しないで、次の潅水時刻まで待って、潅水するかどうか判断します。
・潅水直後は培土の水分含量は60%前後になる。トマトが萎れる土壌水分含量は20~30%。
・トマトの糖度を高めるには午後の潅水量を少なくして夜に培土に水が残らない潅水が必要になります。
・午前中は高土壌水分含量で潅水するように設定、午後は夜に水が残らないようにするため低土壌水分含量で潅水します。
・例えば、木作り中は高土壌水分含量、糖度を高める時期には午後以降は低土壌水分含量に設定する。このように自分で各設定値を決めて入力でき、自分の栽培経験を生かすことが可能となります。
・1日の土壌水分土壌水分含量は、1日間はモニターに記録されるので記録を見て潅水を修正することができます。
1日の潅水量設定例(夏作のケース)
・潅水コントローラーへの設定数値は農家・栽培者の方が予め入力しておきます。
・潅水量は通常かかる水圧において、潅水秒数と潅水量の関係をあらかじめ調べておき、適量の潅水秒数を入力することが肝心です。
▼木作り時の潅水
潅水時刻 | 05:30 | 08:00 | 09:00 | 10:00 | 11:00 | 12:00 | 13:00 | 14:00 | 15:00 | 16:00 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
潅水量(秒) | 60 | 90 | 90 | 60 | 60 | 60 | 60 | 60 | 60 | 60 |
センサー値 | 午前午後とも35%以下で潅水 |
▼高糖度化の潅水
潅水時刻 | 05:30 | 08:00 | 09:00 | 10:00 | 11:00 | 12:00 | 13:00 | 14:00 | 15:00 | 16:00 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
潅水量(秒) | 60 | 90 | 90 | 60 | 60 | 60 | 60 | 30 | 30 | 30 |
センサー値 | 05:30~13:00 まで35% | 14:00~16:00まで25% |
夏時期の1日の制御事例
・潅水コントローラーへの設定数値は農家・栽培者の方が予め入力しておきます。
設定条件:土壌水分含量はAM5時からPM14時まで38%、PM14時以降28%
潅水秒数は8時および9時は90秒、それ以外は60秒とした。
*この日の潅水は計6回。10:00と12:00は設定した土壌水分含量(38%)よりも高水分含量のため潅水をしなかった。また、14:00以降、低水分含量(28%)に設定したので翌朝の潅水となる。
注)トマトバッグ栽培潅水プロ2型は、元静岡県農業試験場長 大沢高志博士のご協力で開発しました。