多目的細霧システム
多目的細霧システムの開発経緯
- 飛騨の雨よけ栽培のトマト生産者から次のような相談がありました。
この生産者の方は、自分が農薬アレルギーであるため無農薬で栽培している。有機の昆虫忌避剤や有機の栄養剤を頻繁に散布しているので、手間がかかりすぎて通常の管理がおろそかになってしまう。そこで散布作業を省力化したいとの相談を受けました。 - 栽培ハウスは間口5.8m、奥行40mの単棟で9棟でした。
- 夏期、ハウスの高温対策も話題となりました。
下記の観点から多目的細霧システムを設計
- 夏の高室温対策と昆虫忌避剤などの散布をするために、細霧を噴霧できるシステム方式を採用しました。結果的には多目的細霧システムとなり、細霧は動力噴霧機で加圧することとした。
- 高温対策では水、昆虫忌避剤や栄養剤は、溶液が水とは別経路で動力噴霧機に入れます。
- 現地の気温、湿度、日射量、トマト群落や土壌面からの蒸発散量から計算して噴霧量を決め、使用する細霧ノズルの種類とノズルの設置間隔(1.5m)を決めました。
- 昆虫忌避剤や栄養剤は液体ですが、水道水に比べ固形の不純物が含まれています。この固形物はノズルの目詰まりの原因となります。そこで、1ミクロンの粒子を補足できるフィルターを設置することにしました。
- 有機物は配管内で腐敗し固形化します。そこでノズルの目詰まりを防ぐために有機溶液を散布した後に、水のみを噴霧し配管内の有機液を排液させる仕組みとしました。
- 設定した任意の時刻に、設定した秒数噴霧します。
茎葉が1時間以上連続して濡れた状態が続くと、病気になりやすいので、葉を模したセンサーが濡れたら自動的に噴霧をやめるようにしています。
多目的細霧システム設置後のフォロー
- 目的の省力については、有機液を調合する作業だけであり、充分達成できることが確認されました。
- 5年間使用して目詰まりは起こっていないことを確認した。
- 噴霧することにより潅水(土壌水分)に影響するようなことはありませんでした。
- このシステムでは細霧を動力噴霧機で加圧しています。動力噴霧機では音が大きく作業動作中ラジオを聞くことができません。これを解消するために、動作音の低い多段式高圧ポンプを用いた事例があります。このポンプで加圧すれば動作中ラジオを聞くことが可能です。
当事務所の多目的細霧システムの特徴
- 多機能細霧システムでは、細霧を利用した潜熱冷却ばかりではなく、有機葉面散布剤を散布しています。
- 環境調節ばかりでは無く、省力にもなっています。